【鞄工房山本 銀座店】「夢の島熱帯植物館」は都会のオアシス

直営店から コラム

こんにちは、銀座店の森です。10月になり本格的な秋になりました。 猛暑の夏が終わり秋になると何かと楽しい季節、こんな時はお出かけしたくもなりますね。 今回は近場でお手軽に秋を楽しめるスポット「夢の島熱帯植物館」をご紹介します。 銀座から有楽町線一本で行ける新木場の「夢の島熱帯植物館」は、元々ごみの最終処分場として埋め立てられた人工島に立地しており「夢の島公園」の一角です。 この「夢の島公園」が実に広大で東京ドーム約9個分、分かりやすくいえば銀座店がある銀座の1~8丁目までの約半分の大きさで銀座店から「銀座三越」や「ギンザシックス」まですっぽり入る大きさ(余計に分からなくなりますね)。 つまりはそれくらい広い公園にある施設なんです。 それだけ広い公園の奥にあるので新木場駅を降りてたどり着くのに徒歩で約13分を要しますが、併設しているいろいろな施設を通っていくため退屈はしませんよ。

駅からの道のりで「運動の秋」を実感

ゆうかり橋 高速道路をくぐり明治通りを歩いて行くと「ゆうかり橋」が現れるので、この橋を横断し公園内に入ります。 ところがこの「ゆうかり橋」は10月9日から来年の2月28日まで改修工事で通行止め。私が行ったのが偶然にも通行止め前日の10月8日で何か感慨深いものがあります。 トーテムポールが道案内 橋を渡り園内に入るとトーテムポールがお出迎え。この標識で分かるとおり「夢の島熱帯植物館」は最深部、まだまだ道のりは長く険しそうです。 競技場 途中にはこれまた広い競技場や多目的コロシアムがあり、「運動の秋」とばかりにたくさんのお子さまが元気に体を動かしておりました。桜も約120本あるそうで春は花見もいいですね。 ※「第五福竜丸展示館」は改修工事のため来年の3月31日まで休館です。 外から見た夢の島熱帯植物館 更に途中の「東京スポーツ文化館」は運動用だけでなく音楽やお芝居のスタジオもあり、更にはレストランや宿泊施設まで完備してあります。 ここを過ぎるとようやくお目当ての「夢の島熱帯植物館」に到着。ここまでの道のりを歩いてきて私自身も「運動の秋」を満喫しました。

まずは屋外で楽しもう!

施設内に入るには入館料が必要ですが、都営の施設ということもあって大人が250円、小学生以下のお子さまは無料と大変リーズナブル。しかも私が行った日は入館無料の日でした。 芝生の上でお昼ご飯 入ると季節に合わせたイベントが盛りだくさん。この日も主に屋外でいろいろなイベントがあり、そのどれもが見ているだけでも楽しいものばかり。 私が着いた時間がお昼ごろだったせいか、芝生の上でお昼ご飯を楽しむご家族もたくさんお見かけしました。 おばけかぼちゃがいっぱい そしてこの時期は「ハロウィン・パーティー」として茨城県常陸大宮市で作られた巨大な「おばけかぼちゃ」を展示中。この「おばけかぼちゃ」は最大で100㎏近い重さになるそうで、それが100個以上展示されると否が応でもハロウィン気分になります。 ワークショップ ボディペイント こうしたワークショップやボディペイントなどお子さま大喜びのハロウィンならではのイベントもありますし、 かぼちゃをつかった輪投げ ミニかぼちゃおたま競争 「かぼちゃをつかった輪投げ」や「ミニかぼちゃおたま競争」など体を動かす「運動の秋」を兼ねたイベントもたくさんあります。

いよいよ館内に潜入!

植物館の建物は上から見るとオリンピックの五輪のような形になっており入口は下部の中央。 そこから時計回りと逆に進行していくことになりますが、館内も広々としていて映像館やギャラリーなどもきれいに整備されています。 見ごろの花の紹介 植物館のエネルギーの秘密 エントランスでは館内で見ごろの花の紹介や、植物館のエネルギーが清掃工場の余熱利用によってまかなわれていることが分かります。私たちの生活で発生するごみを焼却する際の熱を自然界に役立てるなんて本当のエコロジーですよね。

そしてメインの大温室、まずはAドームへ!

滝 池のスイレン ここのテーマは「木生シダと水辺の景観」でドーム内に入るとすぐに小さな滝があり、水面にはアマゾンの植物たちと池の周りには木性シダが生い茂っています。 木性シダは主に熱帯地方の高温多湿の谷間などに5m以上生えるシダのことで、恐竜が生きていた時代はこれらのシダが陸地の多くをおおっていて地球全体が蒸し暑かったようです。 マングローブの竹 このドームにはマングローブの植物たちも多く、湿地での酸素不足を補うため特異な形の根を持っています。 私たちに馴染みの深い竹もマングローブではこんな感じになるんですね。 クロトン 葉の色や形もさまざまでどれもがミステリアス。個性的な「クロトン」も違和感なく周囲に溶け込んでいて、生き生きとしているように見えます。 ラン科の花 こうしたラン科の花も数多く咲いています。ここは一年通じて熱帯雨林気候のような感じで、熱帯地方の珍しい花をいくつも見られますし寒い冬でも常夏気分満載。 どこからかTOTOの「アフリカ」が聞こえてきそうです。

続いてBドーム、テーマは「ヤシと人里の景観」

小屋 先ほどのAドームと比べると全体的に私たちの生活に近い景観で、密林のジャングルっぽいAドームをさまよい歩いて農村部のBドームを発見したような雰囲気です。 人が生活するということはそこに衣食住があるということ。このドームではそれを見ていきましょう。 バナナの花 これが「バナナ」の花です。私が見た時は小さかったのですが、これが大きくなりやがて実に変わっていくのです。熱帯に暮らす人々は家の周りに「バナナ」などの食べられる植物をたくさん植え、庭には一年中咲き誇るきれいな花々を植えているそうです。 パイナップル これはすぐ分かると思いますが「パイナップル」です。一つの「パイナップル」で花が100個以上咲くそうで、ネズミ算ならぬパイナップル算といってもいいくらいですね。 マンゴー 実はなっていませんでしたが「マンゴー」もありました。だんだん南国気分になってきて「なんとなく、トロピカル」。この他にも甘い濃厚な味と強烈な匂いで有名なドリアンもありました(匂いを恐れて近づけず)。 カカオ これはみんな大好きゲスラも大好き、チョコレートの原料でおなじみの「カカオ」です。大きな木では一年に10,000個以上花が咲くそうですが、その中で「カカオ」の実になるのは200~300個に1個くらいの割合だそうです。そしてその実の中の種を加工してチョコレートをつくっているんですからチョコレートが高いのも納得ですね。 ココヤシ 熱帯地域には欠かせない「ココヤシ」です。果実の中の水を飲んだり果実を調理したりすることで有名ですが、他にも果実の油は石けんやマーガリンの原料、果皮の繊維はたわしや縄、ヤシ殻活性炭は消臭や水の浄化にもつかえるそうです。何とすごい! 一体いくつのツールを持つ果実なのでしょうか? 更には「パンノキ」や「サラダノキ」など名前はダジャレとしか思えなくても、実際に主食代わりや野菜として現地で食べられている植物もありました。 エンジェルストランペット 果実がならない花や植物もいろいろあってこちらはオシロイバナが巨大化したマンモスフラワーのような花ですが、大きなラッパ形の花から「エンジェルストランペット(天使のラッパ)」と呼ばれるナス科の植物です。花の大きさだけで50㎝に達することもあるそうです。 葉の柄が特徴的 幹が特徴的 葉だけでなく幹や枝が独特の色をしている植物もあります。ちょっとおどろおどろしい感じもしますね。

最期のCドームのテーマは「小笠原の植物とオウギバショウ」

豊かな自然に恵まれた東京都の亜熱帯の小笠原は帰化種や固有種が数多くあります。大陸から遠く離れた小笠原の貴重な植物をここで見られるなんて、どこでもドアをつかったみたいで「アニマルプラネット」のアッテンボロー氏もびっくりです。 パパイヤ たわわに実った「パパイヤ」です。先ほどマンゴーを見かけたので、キウイが加われば「新木場、キウイ、パパイヤ、マンゴーだね」です。 オガサワラモクマオ これは「オガサワラモクマオ」といって、ひも状の無数にしなだれた花が昔に大流行したおもちゃの「モーラー」を彷彿とさせてキモカワイイ植物。 この植物の生命力はすごく強靭で、他の植物が生育できない劣悪な環境でも日当たりさえ良ければ土がほとんどない岩場やコンクリートの割れ目からでも生えてきます。この点も流行り廃りの激しいおもちゃ業界で今もロングセラーの「モーラー」と似ていますね。 紅い花1 紅い花2 グミ科とアカネ科の花のようですが、同じような色に四裂も同じで一見すごく似た花ですがよく見ると全く違う花だったりもします。 タコノキ パイナップルやヤシガニの大好物のアダンのように見えますがこれは高さ10mにもなる「タコノキ」です。果実は食用や油を採取したりできるそうですが葉に大きく鋭い鋸歯が付いているので、うかつに触ると痛い目に遭うそうです。 オウギバショウ 花は小さくて目立ちませんが対照的に大きな葉がクジャクの羽のように扇状に並ぶ「オウギバショウ」です。図鑑で調べたら種が青くてすごくきれいなんですよ! どうしたら自然にこんなに青くなるのか不思議なくらいですので、気になる方は調べてみてくださいね。 三つのドームを全て見ましたが森林浴によるフィトンチッドで癒されたせいか気分は爽快です。 更にこのドームのテラスから外を眺めると同じく「夢の島公園」内にある「東京夢の島マリーナ」を一望。 夢の島マリーナ 夢の島が海や川、運河の水に囲まれた埋め立て地の人工島であることを再認識できます。 因みにこの「東京夢の島マリーナ」は海の駅でもあり海が持ついろいろな魅力を提供されているそうです。道の駅はよく知っていて年中利用していますが、海の駅があったなんて驚きです。

もう一つの見どころ、食虫植物登場!

食虫植物温室 虫や小動物を食べる不思議な植物の食虫植物ですが、光合成で栄養分を補い花から種をつくる普通の種子植物でもあります。 どうして虫などを食べるのか? それは生育場所に窒素やリン酸などの栄養が乏しく、代わりに虫などを捕らえて栄養補給することで生き抜いているのです。 その不思議な食虫植物と捕虫方法を紹介していきましょう。 ハエトリグサ 食虫植物の中でも最もメジャーな「ハエトリグサ」です。葉の一部が二枚貝状のワナになった大きな口をあけて虫がやってくるのを待ち、口の中にある感覚毛と呼ばれる3本ずつの毛に虫が2回触れたらパクっと挟みこみ、消化液を出しながら虫の体液を徐々に搾り出していく「とじこみ式」捕虫の植物です。 他の食虫植物にはこのような捕虫の際のアクションはほとんどなくて捕虫自体が言わば不労所得。そんな中、唯一能動的に捕虫する「ハエトリグサ」はその動きで多大なエネルギーを消費するせいか、一つの口(ワナ)は生涯で数回しか捕虫できないそうです。 それが葉の寿命なのでしょうか? 他にも何で1回ではなく毛に2回触れたら挟み込むのか? それをカウントできるのか? 疑問は尽きませんよね。 サラセニア これまた観賞用としてもメジャーな植物で筒状の葉が印象的な「サラセニア」です。この植物の食虫方法は「おとしあな式」と呼ばれており、葉の色や密線で虫を葉の内側へと誘いこみます。 誘惑に負けた虫が袋の内側へ導かれるとすべすべになっていて滑りやすく、下の方は毛が下向きに生えていて虫を下に落としやすくなっているので脱出はほぼ不可能。捕らえられたら最期、難攻不落の完全要塞です。 因みに仮面ライダーは虫(バッタ)の改造人間。ショッカーが仮面ライダーを倒すべく、虫を捕虫する「サラセニア」を早い段階(第4話)で改造人間として差し向けたのも当然と言えますね。 ウツボカズラ 他にも落とし穴式の食虫植物では、この「ウツボカズラ」も有名ですね。 モウセンゴケ 「モウセンゴケ」は葉に毛が200本前後もびっしりと生えており、虫を捕らえるとその毛と葉で包むように巻いて消化していきます。 この「モウセンゴケ」の捕虫方法は、毛に粘液があり捕らえた虫に粘りつくことから「ねんちゃく式」と呼ばれております。くもの巣やとりもち、ゴキブリホイホイでも分かるとおり古典的ながら基本中の基本とも言えますね。 ミミカキグサ 高菜漬けに見えるのは湿原に生息する「ミミカキグサ」です。実がなった姿が耳かきに似ていることから「ミミカキグサ」と呼ばれているようですが、茎以外の姿が地上に現れる部分はごくわずかで捕虫も地中がメイン。透けて見えるガラス容器の理由はここにあったんですね。 「ミミカキグサ」の捕虫方法は「吸い込み式(袋わな式)」で地中に多数の捕虫袋を持ち、捕虫袋についているドア(入口)の毛に触れると急激にドアが袋の内側に開いて虫などを飲みこんでしまいます。 分かりやすく言うと、映画などで爆発的減圧による気圧の変化で外に放り出されるシーンがありますがあんな感じでしょうか? 捕らえられた虫はダイソンばりの吸引力で吸い込まれてしまうのでしょうね、合掌。 他にもいろいろな食虫植物があり、世界には650種ほどが知られていて日本でも約20種が自生しているそうです。そのどれもが様々な工夫をこらして虫を惑わせ食べており、その生態は実に興味深いものです。自然界の生存競争における進化はすごいと改めて実感しました。

「都会にも」ではなく「都会だからこそ」のスポット

館内を見終わって駅までの道のりを再び歩き出すと再び「運動の秋」となりますが、植物の勉強をしたせいか途中の植物が気になったりして足どりが軽くなった気がしました(荷物が重いせいもあり翌日は筋肉痛になりましたけど)。 銀座から近いところにこんなオアシスがあったなんて嬉しい驚きですし、大人はもちろんお子さまの自由研究にもおすすめで四季折々見どころ満載。 先にもふれましたが運動施設も充実しており文武両道スポットとも言えますよ。 ※園内で常連の来館者の方にお話を聞くと、季節によっては蚊に刺されやすい方は虫よけスプレー持参の方が良いとのことです。 銀座店はもちろんお台場や話題の豊洲にも近く、千葉の方を向けば隣の葛西に「葛西臨海公園」、江戸川を越えれば「東京ディズニーリゾート」と周辺の観光も充実しているので皆さまも行かれてみてはいかがでしょうか。 夢の島熱帯植物館 〒136-0081 東京都江東区夢の島2-1-2 TEL:03-3522-0281 開館時間:9:30~17:00 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日) 12月29日~1月3日

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