鞄工房山本版 奈良ガイド 『霜月』 ~11/7(月)まで開催中!正倉院展に行ってきました!~

現在、奈良国立博物館で「第68回 正倉院展」が開催されています。秋の奈良の風物詩とも言える正倉院展。年に一度の宝物の公開を楽しみに、毎年多くの人で賑わいます。 今年の会期は11月7日(月)まで。先日行ってきましたので、その様子をレポートいたします!

正倉院展って何?

その前に……。 そもそも正倉院展とは何かご説明しますね! 04nov2016_10

奈良と言えば東大寺の大仏で有名ですが、その東大寺の倉である「正倉院正倉」で伝えられてきた宝物の一部が展示されるのが正倉院展です。正倉院の宝物は、調度品、楽器、飲食器、文書、染織品などその数なんと約9,000件!そのうち約60件前後が毎年出陳されています。 宝物の中核とも言えるのは、東大寺を建立した聖武天皇の后である光明皇后が、聖武天皇が亡くなった四十九日目にあたる756年6月21日に、東大寺大仏に献納した聖武天皇のご遺愛品です。 今回も、「漆胡瓶(しっこへい)」と呼ばれる、聖武天皇が愛用されたという水差しが展示され、多くの人が食い入るように見入っていました。(上の写真の正倉院展ポスターに載っているものです) 一度出陳された宝物は以後10年は出陳されないため、毎年違った宝物を楽しむことができます。今年は、正倉院の北倉10件、中倉29件、南倉22件、聖語蔵3件の合わせて64件が出陳され、そのうち9件が初公開となりました。宝物は、聖武天皇の時代を中心に、奈良時代(8世紀)に作られたものがほとんどだそうですが、加えて、ササン朝ペルシア、中国・唐、朝鮮半島の統一新羅など、アジア諸国からもたらされたものも多くあります。

知っていましたか?正倉院展の世界一

ここで正倉院展の豆知識を…。 実は、正倉院展は「一日の平均入館者数 世界一」なんです。『ART NEWSPAPERS誌』が発表する「美術館入場者ランキング」の1日あたり入場者の平均は、ほぼ毎年首位になっているそう。会期が短いこともその要因かもしれませんね。 「平均入館者数 世界一」と言っても、平日であればさほど待ち時間は長くありません。 今回私が訪れたのは平日で、入館までは約30分でした。 待ち時間の目安は、館外でも案内されていますし、読売新聞のWebサイトでも随時確認できます。 04nov2016_3 また、列に並んで入館を待つ間はモニターで見どころが紹介されますので、飽きることはありません。 04nov2016_11

ワクワクドキドキ!いよいよ館内へ!

モニターで予習をしたら、いよいよ館内へ。 そのまま入口正面の階段を上がり、宝物が展示されている博物館2階へと進みます。 「聖武天皇ご遺愛の品々」や「天平の音楽と舞踊」など、各テーマごとに展示してある貴重な宝物たち。ケースに顔を近づけ、それぞれの宝物に施された文様や柄、つくりなどをじっくり見ることができます。中には、双眼鏡で凝視されている熱心な方もいらっしゃいました。 館内は撮影禁止のため、写真でご紹介できないのが残念!

奈良時代のアクセサリー?撥鏤飛鳥形

数ある宝物の中から、特に今回私が心惹かれたものは、「奈良時代の暮らしと装身具」のコーナーにある「撥鏤飛鳥形(ばちる の ひちょう がた)」です。 宝物名だけでは、飛ぶ鳥の形をした何か…ということしかわかりませんよね! この宝物には「撥鏤(ばちる)」の説明が不可欠です。撥鏤とは、象牙の表面を、赤・紺・緑などの染料で染め上げ、その表面を掘って文様を表す技法のこと。象牙に染料が浸透しないので、削った部分は象牙の白色が露わになり、美しい模様が作られるというわけです。 正倉院の宝物を身近なものに例えるのは恐れ多いのですが……。真っ赤なりんごの皮をむくと中から白い実の部分が出てくる、と表現するとおわかりいただけるでしょうか。 ”飛鳥(ひちょう)”の名の通り、羽を広げ、大きなケースの中央に整然と並ぶ三羽の鳥。象牙でできたその鳥たちは、撥鏤の技法を駆使して翼や体の模様が表現され、今にも飛び立ちそう!特筆すべきはそのサイズ。一つがなんと2センチほどの小さな鳥なんです。三羽まとめても掌にのるくらい小さな鳥たち。何らかの飾りに使われていたと予想されるそうでが、用途は不明とのこと。写真でご紹介できないのが残念ですが……、唯一この宝物を写真に収めることができました! 04nov2016_4 この旗では大きく見えますが実際はほんの数センチの鳥たちです。正倉院展では後半に登場しますので、ぜひじっくりとご覧いただきたいと思います。

正倉院展の醍醐味とは?

正倉院展の図録によると「古代の宝物が建物の中において良好な保存環境のもとでまとまって残されている例は、世界でも他に類を見ない。」とのこと。 千年以上も前につくられたもの、また異国から運ばれたものが、その形や色を留め、今も当時の姿を残している。楽器の中には、今でも音を奏でるものがあるそうです。それをじっくりと見られるのが正倉院展です。当時の人々が見た風景や暮らしを想像したり、工芸の技術に驚嘆する。難しいことは一旦置いておいて、千年前に思いを馳せることができるのが正倉院展の醍醐味だと思います。

イベント盛りだくさんの奈良へぜひお越しください!

今週末、博物館の近くでは、奈良のグルメが味わえる「シェフェスタ」などのイベントも開催されています。 奈良公園の木々も色づき始めています。 お天気も良さそうな今週末!シェフェスタでランチ→正倉院展→奈良博覧会というコースがおすすめです。お腹も心も満たされる時間をぜひお過ごしください! 04nov2016_5

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