橿原には楓の木が群生している所はあまり無いそうだ。
しかし、銀杏並木やすすきの穂が秋の夕日に照らされている風景は風情を感じさせます。
そう、色はこの地域では赤よりも黄色が秋の色なのかもしれません。
秋山之 黄葉乎茂 迷流
妹乎将求 山道不知母
秋山の 黄葉(もみぢ)を茂み 惑ひぬる
妹を求めむ 山道(やまぢ)知らずも
橿原市内の人麿神社に、柿本人麻呂が万葉集で詠んだ句の碑があります。「もみぢ」は紅い葉ではなく、黄色い葉。
この歌は、山道へと入っていくと信じられていた亡くなった人、この場合は人麻呂の妻(妹「いも」)を探したいが、黄葉が生い茂っているためにどの山道へといけばいいのだろう、という悲しみを詠ったものです。
TOP画像 : yugoQ
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス2.0
https://www.flickr.com/photos/yugoq/312916636/in/photolist-hvfJnR-q61VSM-5JQ6nZ-jG59gk-aXJ7Z4-8Ppo3z-pMZbJs-qnzxbp-tDMdq-pMfJ2m-hUX9Ju-8Ps6kN-dGZfm6-nKCMHX-aCv2WH-tBZvp-tBZf4-aGDfgt-43djky-2KDDV5-4EHXDW-pS2wi7-aEU7dL-dAs3mc-dwHVib-dzUZgD-8WaQoa-hYsyW1-tBZDk-Hp7Tm-tBZNr-7gG3Ci-7gKYEQ-pPewpC-aCmre3-aCiyUV-phAVd7-8WC4eT-5ESGwt-tBZ9D-8VNUJv-8Yr7eN-8VRXY3-8VRYgq-5JUmvN-dGZeeM-dH5DDu-dGZdAz-dGZcrD-dH5AVJ
また、秋を詠ったものにはこんなものもあります。
藤原 古郷之 秋芽子者 開而落去寸 君待不得而
藤原の 古(ふ)りにし郷(さと)の 秋萩(あきはぎ)は
咲きて散りにき 君待ちかねて
別所池西南堤に石碑があり、「あなたを待っていたのだが、来るのを待ちかね、待っておれずに、藤原の古い都に咲いた秋の萩は、すぐに散ってしまったではないか」と恋する人を想うものもあります。
この石碑に掘られた碑文は司馬遼太郎氏が書いたそうです。
石碑の場所とは違いますが、歌に詠われた藤原京跡やホテイアオイでも有名な本薬師寺跡では秋の花として有名だそうです。しかし、見頃はホテイアオイと同じ頃から少し後とのこと。
黄葉が終わると、本格的な冬へと向う奈良・橿原。
今年の雪はいつ頃から降るのでしょうか。