ランドセルと6年間の思い出 ~千葉県 ミオリちゃん~

駅から続く大きな坂道をいくつか越えて訪れるのは 大好きなおじいちゃんとおばあちゃんのお家

ミオリちゃん_12アンティークな家具でしつらえられたリビング。暖炉の上には、ミオリちゃんの写真がたくさん飾られています。毎年、夏と冬にご家族3人で千葉から帰ってくる奈良のお家です。日々の生活を丁寧に過ごすミオリちゃんは、あたたかい愛情に包まれながら、かけがえのない時間を積み重ねてきました。

コスモスのお花とピンク色がお気に入り ご縁を感じて選んだランドセル

ミオリちゃん_3ミオリちゃん_4ご入学の前年、インターネットでランドセルを探していたお母さんが一目見て「これかな」と思ったものが、コスモスや大きなお花がモチーフの鞄工房山本のランドセルでした。「コスモスの花がかわいいと思いました」とミオリちゃん。お母さんがいくつか選んだ候補のなかからどれがいいかを尋ねると、コスモスのランドセルを指して、「これ!」と即決だったそう。当時も今も大好きなコスモスのモチーフとローズピンク色です。 当時、鞄工房山本のWebサイトを見て奈良の会社だと知って驚き、ご縁を感じたというご両親。実はご両親が奈良出身で、ミオリちゃんも奈良生まれ。現在ご一家が暮らす千葉へ引っ越したのは、ミオリちゃんが生後8ヶ月頃のことでした。引っ越し後も長いお休みの度に帰ってくる奈良は、ミオリちゃんにとって第二のふるさとといえる場所かもしれません。

毎日一緒に学校へ通ったランドセル 言葉に出さなくても伝わる思い

ミオリちゃん_5ミオリちゃん_6ミオリちゃんのランドセルは、いつもかわいがってくれる大好きなおじいちゃんとおばあちゃんからのプレゼント。二人から手渡ししてもらったときのことは今でも覚えています。6年後も新品のように美しいランドセルからは、ミオリちゃんが毎日大切に使っていたことが伝わってきます。 発達障害があり、小学校では支援級に通っていたミオリちゃん。普段から、帰宅後に特に何かを発するということはあまりなかったそうですが、ある日、泣きながらお家に帰ってきたことがありました。その理由は、支援級に通う年下のお友達がよくわからずに、ランドセルの内装に黒いペンで落書きをしてしまったから。 「ランドセルは汚れるものだから別にいいんだよ~、それも味なんじゃない」。そう言って慰めながら、「本人にしたらものすごく大事にしていたんだなって思って」、黒い線を消すために色々と試みたというお母さん。お母さんにとっては、ミオリちゃんが泣いて帰ってきたことが一番の驚きでした。大人から見るとたった数センチの黒い線でも、当時のミオリちゃんにとっては大事件だったのかもしれません。結局黒い線は消えずに残ってしまいましたが、当時のことは今では心温まる良い思い出です。 たくさんの思いがつまったランドセルの今後については、ミオリちゃんがこれからも身につけられるよう、お財布や定期入れにリメイクすることも考え中です。

頭の中のイメージを描きだす どこまでも自由に広がる空想の世界

ミオリちゃん_7絵を描くことや裁縫が得意なミオリちゃん。手先が器用で細かい作業が大好きです。これまでにたくさんの作品をつくってきました。ミオリちゃんの作品が学校代表に選ばれたり、展覧会で受賞したりしたことは一度や二度ではありません。そのどれもが「賞を取るため」ではなく、「好きだから」という気持ちで丁寧に取り組んだ結果です。 ミオリちゃんが描く世界は、細やかなデザインと優しい色であふれています。立ち並ぶ木々には色とりどりのお花が咲き、レンガの小道を歩く女の子が向かうのは、オーロラの都。さまざまな楽器と音符が楽しげに空を舞い、華やかな衣装を着て舞台で踊るダンサーたち。どれも、見る人が思わず微笑むような、素敵な絵です。 その豊かな感性とともに驚くのが、絵に描かれるもののすべてに、一つひとつきっちりとそれぞれの柄や模様が描きこまれていること。自分のペースで時間をかけて、細かく丁寧に描き出すのがミオリちゃんのスタイルです。ミオリちゃん_8おさげ髪と笑顔がかわいい人形の「ふみちゃん」も、5年生のときにミオリちゃんが一人で一からつくった力作。せっかく一生懸命つくったからと千葉のお家から持ってきてくれました。

ご家族の深い愛情から生まれる 優しくて和やかな雰囲気

ミオリちゃん_9ミオリちゃん_10ミオリちゃんは生まれたときから心臓が弱く、これまでに数え切れないほど多くの手術を乗り越えてきました。お父さんは「元気に生きていられるのは皆が守ってくれたから」と、どんなに短い滞在でも必ず、帰省の度に父方母方両方のお墓参りに行くそうです。お母さんが得意な「キャラ弁づくり」は、ミオリちゃんが幼稚園へ通う頃に「お友達との会話のきっかけになれば」とつくりだしたことが始まりです。 そんな愛情深いご両親の夢が、お家に「子どもが楽しいことを1つつくりたい!」ということ。その想いから千葉のお家につくられたのが、壁一面の黒板です。華やかな花々と四季折々の絵で彩られるミオリちゃん特製の壁を見て、思わず、「どなたがお描きになったのですか」と尋ねるお客さんもいらっしゃるのだとか。 ミオリちゃんの背の高さは、子煩悩なおじいちゃんと朗らかで笑顔の素敵なおばあちゃん、手先の器用さは優しくて明るいお母さん、我慢強さは誠実なお父さん譲り。いつでもミオリちゃんを信じて見守る、あたたかいご家族です。

ご家族、先生、お友達 皆の思いやりの心とともに描く未来

ミオリちゃん_11中学生になったミオリちゃん。将来の夢を尋ねると、「画家になる、だから美術部に入っているんです」とまっすぐに目を見て答えてくれました。中学校では美術部に所属しながら、色々な表現方法で自由に創作できるアートスクールにも通っています。 「作品を人に見せることができて、彼女が楽しく生きていければいいかな」とお母さん。ミオリちゃんの気持ちを尊重しつつ、一つの可能性として一度就職するという道も考えています。ミオリちゃんについて、「コミュニケーションをとるのは少し難しいかもしれないけれど、何でもできる」というおばあちゃんも、「作品が将来に役立つことがないかな」と思いを巡らせます。 この先も多くの人とふれあいながら、唯一無二の花を咲かせ、世界を表現していくミオリちゃん。またいつかどこかで、ミオリちゃんの創る世界に出会えることが楽しみです。 ミオリちゃん_2

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