夏草の香りが漂い、どこからともなく鳥の鳴き声が聞こえる
穏やかな時間が流れる丘の上の住宅地
街全体のゆるやかな勾配と山の緑が織りなす美しい景色を眺めながら、駅から歩いて十数分。なだらかな坂道を上ったところにリオちゃんのお家はあります。丘の上に広がる大きな空のように優しい心を持ったリオちゃんは、あたたかいご家族やたくさんの友達と楽しい6年間を過ごしてきました。
花のモチーフ、クローバー柄の飾り鋲、ピンク色
お気に入りを詰め込んだランドセル
リオちゃんのランドセルは、じいじとばあばからの入学お祝いのプレゼント。ご家族皆で奈良本店に来店し、購入しました。当時、「花のデザインがかわいいな」とコスモスのモチーフがついたデザインを選んだリオちゃん。クローバーが描かれた飾り鋲などの「金具を選べたのもうれしかった」といいます。実は、色はチェリーピンクが良かったそう。お母さんの勧めでローズピンクを選びましたが、今になって振り返ると、「ローズピンクだと長いこと飽きずに使えました」と笑顔で話してくれました。
鞄工房山本を知ったきっかけは、幼稚園のママ友。ママ友が持っていたパンフレットを見せてもらい、オーダーメイドで注文できるところに魅力を感じて、他社のものと比較検討することなく購入を決めたそうです。1年生で現在の場所に引っ越してきたときには、「山本鞄やんな~」とご近所の方が声をかけてくれたこともありました。
ランドセルとともに過ごした
思い出がいっぱいの小学校生活
リオちゃんが6年間大切に使ってくれたランドセルは、すり傷がなく型くずれもしていません。内装も新品のように綺麗です。今もリビングの片隅に大切に置かれているランドセルには、メッセージがたくさん書かれています。卒業式が近づくなかで、ランドセルへの寄せ書きがリオちゃんの通っている小学校の伝統と聞き、「やりたい」とお母さんにお願いしたそうです。
リオちゃんが小学校生活で特に心に残っているのは、6年生の1年間。担任の先生をはじめ、クラスの24人全員が仲良しの大好きなクラスでした。卒業の前に遠くに引っ越すことになった友達や、違う中学校に進学する友達との最後のイベントだったという修学旅行。最後の参観日に発表した、“ありがとう”というテーマで書いた作文のタイトルは「6-1の皆へ」。クラスの皆から先生へ、感謝を込めて「あと一つ」という歌を合唱した感動の卒業式。リオちゃんにとって、どれもかけがえのない大切な思い出です。
卒業式後の教室で一人ひとりに言葉を贈り、歌のサプライズに号泣したという担任の先生。リオちゃんいわく「熱くておもしろくて、めっちゃいい先生!」は、リオちゃんたちの卒業後に別の小学校へ転任することになっていました。離任式へはリオちゃんを含め数人で行く予定でしたが、当日の朝に急遽「せっかくなら6-1の皆を誘おう!」ということに。式が始まるまでにクラスの皆へ電話をかけて連絡をとったり、家まで走って呼びに行ったりした結果、最終的に集まった人数は、なんと20人!駆けつけた皆の姿に、先生も思わず涙したそうです。
担任の先生や友達からのあたたかい言葉で彩られたランドセルは、これからもリオちゃんの小学校時代の記憶にそっと寄り添い続けることと思います。
柔らかな物腰から伝わる
まっすぐな心と優しい人柄
体を動かすことが好きで、明るく活発なリオちゃん。男女問わず、周りからは“ムーリー”という愛称で親しまれています。クラスでは、皆が楽しめる企画をよく考えてくれると言われていました。「2年生くらいからかな、途中から男っぽくなったというか、髪型もふたつくくりからひとつくくりになったり、私が選んだかわいい服も着てくれなくなったり……」とお母さんは懐かしそうに笑ってふり返ります。学校の休み時間にはよく男の子たちに混ざってサッカーをしていたそうです。今では巨人ファンのリオちゃんがプロ野球を好きになったのも、下校班が一緒だった男の子の影響で巨人の試合や動画を見たことがはじまりでした。
小学生の頃は、休みの日になればお父さんとキャッチボール!同じく野球好きなお父さんとはこれまで何度も甲子園へプロ野球の観戦に行っていますが、お父さんは阪神ファンのため、席はいつも阪神側。巨人ファンのリオちゃんにとっては居心地が悪いかと思いきや、「阪神ファンは皆さん熱血で全員仲良し。阪神が点を取ったら隣のおじさんと一緒に“いえーい!”ってメガホンを叩きあって……阪神の応援もわるくないです」とにっこり。
中学校ではソフトボール部に入り、毎日一生懸命練習に励んでいます。陸上部と迷いましたが、「やっぱり野球が好きで、父とよくキャッチボールをしていた影響もあってソフトをしたいなと思って」、ソフトボール部を選びました。
オシャレなお母さんにちょっぴりシャイなお父さん
家族を明るく照らすリオちゃんの笑顔
思いやりがあって、周りの人たちから慕われる。そんなリオちゃんをご両親はいつも優しく見守ってきました。毎年の結婚記念日にはご家族でお出かけし、時間をみつけては旅行を楽しんできた仲良し家族です。
リオちゃんが次に行ってみたいのは、ご両親が結婚式を挙げたグアム。もともと「式場となった教会を見せてあげたい」とリオちゃんが3~5歳のときに家族で毎年訪れていた思い出の場所です。小学校に入ってからは行く機会がなかったため、今度はリオちゃんが高校に合格したときに行こうというのが、今から楽しみな目標です。
楽しい毎日に全力投球!
目の前に広がるいくつもの可能性にむかって
中学生になったリオちゃん。今のところ、将来については「無理だとは思うんですけど、ソフトか女子野球のプロ選手になりたい」。また、計算が得意なリオちゃんにとって、“数学の教師”も候補の一つ。さらには“アナウンサーになって野球選手と結婚”というかわいらしい話も。いつでも自然体のリオちゃんに、「このまま、好きなことをやってくれたらいいと思っています」とお母さん。これからもきっとリオちゃんが選んだ道を尊重し、応援してくれることと思います。
たくさんの人達に囲まれて、皆と一緒に夢を叶えていく。素敵な未来を笑顔で過ごすリオちゃんの姿が目に浮かびます。