デニム調牛革をその風合いや特徴を活かして、どのようにランドセルという形にしていくのか。
そこには様々なこだわりが隠されていた。
ステッチを見るだけでも、ランドセルを開けただけでも、一目見ただけでもデニム調の良さをどうデザインしていったのだろうか。
デニム調ランドセルが出来るまで
鞄工房山本のランドセルで特徴的なものがデニム調牛革を用いたランドセルであろう。
「元々、黒のサンプルが来たんです。それを色々やっているうちに紺が一番いい、という事で特注でつくってもらったんです。」
デニム調だからこそ、よりデニムに近いデザインに仕上げるために、様々なデザインにこだわった。それは自然な事だったように話す工房主・山本一彦。しかし、そこに至るためには数々の試行錯誤の連続だった。
まず、ランドセルとして、基本的な型のパターンは決まっている。その中でデニム調牛革の風合いを活かしつつ、子どもたちが6年間愛着を持って使ってもらえるように。この場合、かっこ良く仕上げるために、ヌメ革を効果的に使用した。
「大マチにデニムのラベルと同じものをつけました。そして、かぶせにもヌメ革を外側に使い色のコントラストをかっこ良く仕上げました。」
そのかぶせにはもちろん、
鞄工房山本自慢のコバ塗りも施されている。
このヌメ革の自然な風合いと、デニム調牛革の独特な風合い。それを更にかっこ良くするのがステッチと鋲だろう。これもデニムでよく見るもの。
まるでデニムがそのままランドセルになったかのようなデザイン。
鋲は他のランドセルにはない2種類の小さなものをかぶせに5つ。かしめはコンパス。全体的な統一感を持たせるために、こういった金具は「アンティークブロンズ」に。そして、デザインステッチはゴールドブラウンの糸の色を選択。
Vの字のデザインステッチはまるでデニムのポケットそのもの。
こんなデザインをランドセルに忠実に反映させる事が出来る高い「想像性」と「技術力」。それが鞄工房山本のすごさでもある。
内側も『デニム調牛革』と『ヌメ革』とのデザインバランスとの調和へのこだわりが見える。
内側も抜かりなく「かっこよさ」を追求。ヌメ革と同じような色合いの内装には、主張しすぎない絶妙のバランスで配された文字。
このように全体美を追求したランドセルが伝える事。それはどのランドセルにも同じ気持ちでつくられている、と言う事。
鞄工房山本のお店で、どのランドセルもデザイン性高く作られている事をぜひ確認してほしい。