時代の変化に応えるランドセルのマイナーチェンジ
現在のランドセルには、子どもたちの更なる安全を求める声を反映して、様々なものが追加されていった。
防犯ブザーを付ける為のフックはそのひとつ。10年前から肩ベルトに付くようになった。学校側で配布するようになったことが理由だが、その頃、小学生が被害に遭う事件がいくつも発生したからだ。
また、夜道の安全を確保する反射テープや反射鋲も、子どもたちの帰宅時間をみると日没後がほとんどとなる現状を反映したものだ。両親が共働きで、学童保育で小学校の後過ごすことを想像すると、納得するであろう。
「鍵を付けるフックをポケットの部分に、それも取り出しやすいようにつくって欲しい、と言うご要望があり取り入れましたね。」と常務が言う。
ランドセルは時代の変化を反映させなければならない製品なのである。
「今は、小学校でもタブレットを使った授業を多くやっていますよね。そうすると、家に持って帰って、宿題等もタブレットで完結する日が来るかもしれません。つまり、ランドセルにもタブレットを安全に持ち運ぶ機能を求められる、と言うことです。例えば、衝撃だけではなく、内部に水が入らないようにしっかりと防水されたポケットをつくる必要も出てくる。」
そんな風に工房主は話すが、それはうれしそうにである。
「毎年同じものを出すわけにはいきませんし、毎年求められるものが変化しています。A4フラットファイルを入れられる本革のランドセルに求められることは、重量をより軽くすることです。それは今でもかなり限界まで薄くした革を強度を保ちながら、更に薄くすることで実現可能なのです。それに挑戦することはつくりがいがありますね。」
自分自身の挑戦ではあるが、その先には子どもたちのことを想っているからこそ、挑戦し続けているのだ。