鞄工房山本 奈良本店から車で15~20分ほどのところにある、「だんご庄 本店」さん。手づくりのきな粉だんごが人気のおだんご屋さんです。お店の中に入ると、ほんのりとしたおだんごの蒸気にのって、きな粉の良い香りがふわっと漂ってきます。
今回私たちは、普段は入ることのできない厨房も特別に見せていただきながら、お店の方にお話をお伺いしました。
創業明治11年 はじまりは茶店から
創業明治11年のだんご庄は、高野山へとつながる旧初瀬街道に休憩所として茶店を開いたのがはじまりです。もともとは農家のお家だったため、自分たちで育てたお米を使っておだんごをつくっていました。だんご庄の「庄」は初代庄五郎さんのお名前が由来となっています。
街道を通られる方に一服していただくため、お茶とおだんごを売っていた当初から約140年間、その基本的な製法はほとんど変わっていません。
素材もつくり方もシンプルに
お米を臼でひいて粉にして、粉をこねて、蒸す。蒸したものをついて、小さく切って、蜜にくぐらせる。蜜をまとったおだんごにきな粉をまぶし、串にさす。シンプルだからこそ、一つひとつの手作業はいつも変わらず丁寧に。
流れるようにスムーズなベテランの皆さんの手さばきと絶妙な力加減によって、美味しそうなおだんごがどんどんできあがります。
材料となる粉は今でもお店の臼でお米をひいてつくっていること、おだんごと同じく創業以来受け継がれている蜜、「やわらかいけれどベタつかず、コシが少し残るような感じ」になるような生地のつき方……。どこかなつかしく、素朴でやさしい味わいのおだんごには、たくさんのこだわりが詰まっています。
昔年に思いを馳せて、店内で一服
お店の中には椅子と机があり、店内でできたてのきな粉だんごをいただくことができます。
できたてのきな粉だんごは、ふんわりやわらか。仕上げにひとふりされるきな粉が、蜜ときな粉がなじんでしっとりとしたおだんごの風味をさらに引き立てます。
お店の方のご厚意で、おだんごと一緒に出してくださるほうじ茶との相性もばっちりです。
きな粉だんごは1本70円。近所の小学生の子たちが遊んでいる途中にだんご庄へやってきて、1本買って店内で食べていくこともあるそうです。
ご近所の方はもちろん、大阪や和歌山、三重などの近畿各地から時間をかけて来られるお客様も多く、これまでには「東京へ持って帰ります」という方や、なんと「これからドイツへ持って行きます」という方もいらっしゃったそうです!私たちがお伺いした日も、たくさんの方々がおだんごを買いに来られていました。
いつもできたて、つくりたて
朝に一日につくる数を決めてまとめてつくるのではなく、売れ行きなどを見てそのつどつくるため、お店で販売されるおだんごはいつもできたてです。
だんご庄のきな粉だんごは、防腐剤などを一切使用しておらず、日持ちがしないため、購入日の翌日以降は冷凍保存をして、自然解凍してからいただくと良いとのことでした。
お店は、今回お伺いした坊城本店と、近鉄大和八木駅のすぐ近くにある八木店の2店舗です。営業時間やアクセスなどの詳細につきましては、
Webサイトをご覧くださいませ。
創業当時の「地元の材料で、手に入る材料で考えて、つくったものを食べてもらう」という思いを受け継ぎ、きな粉だんごは今日もつくり続けられています。
お近くにお越しの際はお立ち寄りいただき、他では味わえないできたてのきな粉だんごをぜひお召し上がりくださいませ。