入社して8年のマーケティング担当者が製造現場を伝えるシリーズ。
「人」「道具」「技」の3回に分けて鞄工房山本のランドセル工房を語っています!前回は「人」つまり「ランドセル職人」についてお話しました。
▶コラム:マーケティング担当者から見たランドセル工房 Vol.1『ランドセル職人』
第2回目のテーマは「道具」。「ランドセル作りを支える道具たち」について語らせていただきます。
手間ひまかけて生まれるランドセル
鞄工房山本のランドセル作りをお話しするときは「手間を惜しまず」「手間ひまかけて」とご紹介することが多いのですが、その「手間」って一体どのくらいなのでしょうか。
きっと皆さんが想像する以上にたくさんの工程を経て完成しています。数字で表すとおおよそ300。 なんと300の工程を経てランドセルが出来上がるのです。
工房では40人弱のスタッフが働いてますが、一人ひとりの役割が異なります。つまり、約40人の手により300の工程を経て、一つひとつのランドセルが出来上がっているんです!数字に表すと「手間」の多さに改めて驚きます。300の工程をかけてやっと出来上がるランドセル作りの現場の裏側では、数多くの道具たちが活躍しています。
ランドセル作りに欠かせない道具の色々
「道具」と一言で言っても、工房には様々な種類があります。
コンピューター制御された最新鋭のミシンもあれば、昭和製のプレス機や、木材を持ちやすくアレンジした木槌などなど……工房内を見渡すと数えきれないほどの道具ですが、どれも最高品質のランドセルを作るために使い勝手の良いように調整がされています。
最新鋭のドイツ製ミシン
こちらは、かぶせのガク(縁)を縫うためのミシン。工房内で一番大きなミシンです。
鞄工房山本では「0番糸」と呼ばれる極太糸でかぶせを縫い上げます。針先はボールペンの芯と同じくらいの太さ。この0番糸は鞄工房山本ランドセルを端正な容姿に仕上げるための大事な要素の一つです。このミシンが、独特な形状のかぶせを美しく正確なピッチで縫い上げてくれます。
キザミのペンチと職人の指先
ランドセルを手にとっていただく際にぜひご覧いただきたい「キザミ」。鞄工房山本が細部にまでこだわって作っていることがよく分かる部分です。
キザミは手間と高度な技術を要するため、ランドセルの品質を示すひとつの基準といえます。革を均一に寄せ扇形にひだをつくり、角を仕上げていきます。手仕事だからこそできる美しさです。
ニッパーとともに、写真のように爪を使いながら綺麗にひだを寄せていきます。爪も「道具の一つ」と言えますね。
機械を扱うには職人の鍛錬が必要
どんなに優秀な機械でも、それを扱うためには職人の鍛錬が必要になります。糸の撚りの具合や、その日の機械の調子によっては、同じ作業でも扱いづらい場合があるそうです。最高品質のランドセルを作るため、ときにはメンテナンスもしながらランドセル作りを行っています。
1949年に創業した鞄工房山本。創業者の「どんな時代でも、良いものをつくらなければならない」という思いを、現在の工房スタッフたちが受け継いでいます。子どもたちにとって「一生もの」にふさわしいランドセルを作るため、これからも腕を磨き続けます!